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九州の溯渓

主に九州の溯渓記録を集めたものです。 良かったら覗いていって下さい。

ニタノオ谷左俣 & トレラン (湯山峠~横瀬バス停) 【市房山東面】

出発が遅れたので,トレランは短縮コースへ変更。
沢とトレランの恒例のコラボです。

まずは遡行からです。この谷の特徴は,灰色,赤,白,と岩の色が変化していく所と,各所にある滝群です。

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左:一ツ瀬川本流とニタノオ谷出合い。うっすらと記憶に残っていた。三度目の入渓。

右:出だしから滝のオンパレードでいきなり核心モード。ここから高度差で375m,傾斜が緩むまでの区間は滝,滝,滝,滝,滝の連続で息つく暇なし。これは12m滝。このあと最初の二俣まで10m級の滝を数本越えていく。

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左:最初の二俣は両俣とも滝で出合う。左の支流は35m,右の本流は18m二段構成。

右:岩壁で武装している8m滝。その上で水流は左に折れ,はるか上部から40m滝となって曲線を描く。最初の滝場もここでようやく行程の半分程度。ここから後半戦。

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左:巻きの途中のテラスから40m滝の上部。ここは40m滝の上部を見ながら巻くことができる。

右:40m滝の上部から振り返る。一気に高度を上げ続ける。ちなみにニタノオ谷の平均傾斜は43.1%。

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左:癒し系のスダレ滝。

右:感覚的には,まだまだ夏が続いている。そのせいか,過去2回,同じ場所にあったスズメバチの巣が,今回は見あたらない。斥候バチの姿すら見かけない。さらに加えて,沢では初めてマムシに遭遇。沢筋はシシなどの天敵が多い上に地盤の安定性に欠け,餌となるカエルなどの小動物が少ないので,マムシの生息域外と思っていたのだが…。

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左:そして最後の三連瀑。最初の6m滝。
右:二番手の22m滝。

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左:三番手,とりを飾るのはニタノオ谷きっての名瀑,35m一直線スダレ滝。ここは何度見ても嘆息がもれてしまう。見事という他ない。ここを越えれば出だしからの連続滝場は終了。ようやく一息つける感じ。

右:上部の渓相。傾斜に変化をつけるのは地質。下部の滝場はホルンフェルス帯,ここからは花崗閃緑岩帯に徐々に移行していく。この区間はその混成帯。砂金を含んだ赤みを帯びた岩が目立つ。

※ホルンフェルス・・・熱による変成を受けた岩。岩に含まれる鉱物が,熱溶解した後に再結晶するため,ツルツル,カチカチな岩に変身する。泥岩なら灰色,砂岩なら白色っぽくなる。市房山系の場合,約1,400万年前ころ,山頂部を構成する市房花崗閃緑岩が地底から貫入する際,周辺にあった砂岩・泥岩が熱変成を受け変化したと考えられている。この自然の御業のおかげで,市房東面の,境谷以北の谷では,同じ谷でありながら上部と下部とでは渓相がガラッと変わるので,全く別の谷を遡行している気分になれる。一度で二度美味しい。

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左:こんな感じで赤い谷床が続く。
右:ナメも良い感じ。まるで火山性の谷を遡行している感じ。

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左:32m滝。左巻きがセオリーだが,今日は右からトライ。
右:おかげで滝の横顔が見れた。

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左:これも赤い29mスラブ滝。これを越えると完全に花崗岩帯に変わってしまう。

右:30mクラック滝。ここからは花崗岩。岩が白っぽく,滑らかになってくる。左の滝と見比べると岩質の変化は一目瞭然。

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左:そしてこれがニタノオ谷左俣の大とりを飾る,70mクラック流。幅5~20cmの岩溝を水が一直線に流れる。この谷でしか見られない珍景。右俣にはなし。

右:クラック流は,下流へとまっすぐ流れる。対岸は石堂山から派生する尾根。

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左:命の水。顔を浸してゴクゴク。

右:源流部は気持ちのよい草原状。市房の谷の,この抜けの良さは九州でも指折り。いつしか雨とガスに巻かれ始める。

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左:尾根を少し歩くと二つ岩。久しぶり。ここからは湯山峠へのルートを探しつつ下る。

右:雨は止んだが,ガスがでてきた。湯山峠までは訓練の一環で,コンパス,高度計,GPSなしで歩く。頼るのは歩いた体感距離と地形図のみ。これだけで尾根と谷を選別し降りていく。尾根に再接近した林道へ下り,あとは道なりに峠まで。二つ岩から湯山峠まで歩いて2時間かからない程度。走れば1時間で行けそう。

湯山峠からは下り主体のトレラン。車のある所まで16.3km,1時間30分の快走ランで今日を締めくくる。間近に迫ったハセツネ対策で,ペース走と一定心拍走で走る。都市では長く感じる距離もここではあっと言う間。まだまだ走りこみ不足。ハセツネは大丈夫かな?

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左:湯山峠を熊本県側から。
右:萱原山と月。中秋の名月の一歩手前。

という訳で,今日は9時間運動。反省点は出発が遅れたことで,行動時間が短縮されたこと。せめて12時間は運動しないと。次回への教訓。


★次回も沢&トレランです。同じく市房山系,鍋床谷(そごう谷)中俣を遡行,二つ岩から湯山峠下山。そして,~市房神社~山頂~竹之元~216号~村所~265号~大藪堰堤というコース。約45km。遡行+フルマラソンっていう感じです。今回の轍を踏まないよう,早めに出発することにします。レースで使うサロモン製品のテストを兼ねて走りたいと思っています。


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沢(九州) | コメント:6 | トラックバック:0 |

由布川ゴルジュ Ⅳ

さて,前回8/25日の課題を克服すべくやって来ました,由布川ゴルジュ。
今回こそは旧朴の木探勝路まで抜け,巫女屋敷の滝までの道筋をつけることができるのか?
時期的にも今年最後のチャレンジ。

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左:いつもの景色。今日は九州の渓流釣りの泰斗である,憧渓さんと待ち合わせ。これまで色々とお世話になってきました。お忙しい中駆けつけて頂き,ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

右:今日も暑いが,午後から崩れるようなので時間との勝負。陽から闇へ,この道は続いている。

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水量比較
左:前回8/25。
右:今回9/11。
前回より若干増水気味。+5cm程度。だが,この5cmがここではえらい違いとなってくるのです。左奥に見える滝からも増水が見てとれる。岩に張り付いている草もしっかりと大きくなっている。生命って凄い。

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左:これだけ通うとこの渓相が当たり前のように感じてくる。人の適応力というか慣れは,怖いものです。

右:これまでと違うアングルを探し撮影。意識しないと似たような写真ばかり撮ることになる。

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左:そしていよいよ最大の見せ場の始まり。2m倒木滝。初見の時にはえらい苦労したけど,今ではサッと突破。沢ではいったん答え(突破法)がわかってしまうと,楽にいける分,想像力を使う場が少なくなってしまい,薄味感が残る。やはり悩み苦労して答えを見つけ出す過程に,深い満足感はあるのだろう。

右:峡谷橋から見える2mCS滝。水量が微妙だったが,ブリッジングと人工であっけなくクリア。

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左:上の2mCS滝頭からの眺め。遥か高みに見えるのが,峡谷橋。

右:これも苦労させられた5m斜スライダー。前回掘った穴から,全ての装備をはずしてモグラのように這い上がる。

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左:ここまで来ると谷床の幅が出始め,渓相は大人しくなり始める。

右:そして目の前に現れた1mCS滝。前回,水と涙を散々のまされた障害。ここは岩の両側からの流れが急なことと,岩下は深くて足がつかないので,見た目以上に困難です。複数ならショルダーで問題はないと思われますが。水に浸かりながら格闘すること1時間,ようやく滝上へ抜けることができました!思わず,「ウォ-」と獣のように叫んでしまいました。やりました。

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左:滝を越えて50mも行くと,今は使えない朴の木探勝路の跡が出てきます。ここに辿りつくのに2年かかりました。

右:探勝路から上流区間,谷は穏やかな表情を見せ始めます。「探勝路を作るならここしかない」って言う所によく作ったもんだと思います。先人は偉大です。

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左:滝のカーテンを潜って進む。由布川ならでは。
右:取水堤から先ほどの滝を振り返る。この滝は「栗の木鶴の滝」というそうです。

上空の雲と,谷内で吹き始めた暖かい風をみて,今日はここまでで切り上げる。ここまで来れば巫女屋敷の滝まではすぐなので,道筋がついたということで,来年に持ち越し。
谷で吹く暖かい風は悪天の兆し。取水堤横の118段の階段は,地上への脱出路。側壁に凄い傾斜でかけてある。

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左:地底から地上へ10分。このギャップも相変わらず。
右:帰りは憧渓さんに教えてもらった七里田温泉へ。炭酸ガスのプクプク気泡が何とも言えない名湯です。


今年の由布川ゴルジュはこれにて終了。
続きは来年です。


★次回は,ニタノオ谷&トレランをお送りします。


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番匠( ばんしょう )谷 【 愛媛県 石鎚山系 】

今回は石鎚まで足を伸ばしてきました。
2004年に面河(おもご)川本流を遡行して以来,ずっと頭にあった谷の遡行です。
情報が少ない谷だけに,どんな谷なのか,ワクワクです。

天気は快晴,秋めいた空の下での遡行スタート!

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左:フェリー,高速を使って面河まで。四国は高速から山へのアプローチが近いのがとてもいい。

右:石鎚スカイラインの長尾根展望所。ここからは御来光の滝と石鎚山を眺めることができる。やっぱり石鎚は格好よく,風格のある山だ。

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左:展望所から上へ100m程行った所のミラーの所から踏跡に入る。踏跡といっても利用者が多いのか,登山道並みの道。高度差300mを一気に面河川まで下る。途中,7人くらいのパーティーとすれ違う。彼らの仲間は南沢に入っているようだ。

右:降り立ったのは第二堰堤の上で,そこから10分も歩くと二俣着。右が番匠谷,左が面河川本流。6年ぶりの出合いは記憶が薄れていたが,なんとなく覚えていた。どうみても渇水のようだ。

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左:出だしはこんな感じで始まる。いいね~このたおやかさ。
右:アブも少なく快適に遡る。

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左:二俣から約40分,番匠谷最大の大滝「ねじり滝」が現れる。ほ~凄い迫力。落差は25m程で逆くの字型の滝。両岸の岩壁が圧倒的で,滝をより大きく見せている。しばらく鑑賞したあと,左のガリーから巻いていく。岩塊交じりの尾根側面を縫うように登り上がり,裏手から滝頭に降り立つ。

右:巻きの途中でさっきの滝。上部で吐き出された水は折れて二条流となって駆け下る。

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左:滝上はミニゴルジュ。水線沿いに突破。ここは増水していたらもっと面白そう。
右:再び渓相は落ち着いてくる。激から静へとメリハリがよく効いている。

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左:水は透明度高し。
右:美しい水の流れ。

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左:岩床には独特の模様が入っている。規則性がありそうでない感じがいい。
右:10mスダレ滝。谷はまだまだ終わらない。

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左:振り返る空と稜線。いい谷だな~。
右:上部ではこんなナメ帯が続き癒される。

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左:このナメ帯の存在は以外だった。面河本流にはなかったので。番匠谷バンザイ!
右:最後の滝らしい5m滝。もちろんシャワーでわざと濡れて登る。

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左:谷央に鎮座するカツラの大木。かつての番匠(中世の大工)達もこのような木々を求めて,この谷に分け入ったのだろうか。

右:抜けは石鎚スカイライン上。ほんの少しのヤブ漕ぎで脱渓。何度見ても石鎚は貫禄あり。

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左右:下りはスカイラインを走って下る。長尾根駐車場まで3.2km。こんな所を走れるのは幸せ。次はトレランで来てみようかな。面河~石鎚~土小屋~面河で周遊コースがとれる。または,成就~石鎚~面河~土小屋~石鎚~成就のロングもできそうだ。

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左:イノシシとは珍しい。
右:さっ,あとは帰るのみ。今回もありがとう!


ようやく遡行でき,ホッとしています。番匠谷は予想以上の素晴らしい谷でした。

全体としては大雑把なつくりですが,要所要所にポイントがしっかりと配置されている,そんな感じです。水線距離の割には遡行は速いので,お手軽さや帰路の手軽さが好ポイントです。展望所発着で5~6時間って所です。

遡行中,ふとある文章が思い出されました。
「かつては探険,現在は探検。同じ表記でもかつては危険,冒険の険で,現在のそれは検査の検。現代の技術の発達は,安全に探検を遂行する道具や手段を人に与える一方で,人間の意志の領分であった,自身の判断で自身の意思で実行したことが誤りではなかったという喜びを希釈させてしまった。「考えるアシ」である人にとって,これこそが最大の喜びであり,最大の生きがいとなるものでもある。ぼうけん達成後の感覚において,マゼランと現代の探検家の決定的な違いの一つは,ここにある。」

「最後まで詰めれるだろうか」,「難場を突破できるだろうか」,「行き詰ったらどうしようか」等々,遡行の魅力は,未知に挑む一歩を踏み出す時の気持ちの高揚と,不安に打ち勝つための自己肯定にある,と改めて感じさせられました。きっとこの達成感を味わいたいがために,沢に出かけているのでしょうね。マゼランが海峡を発見した時の達成感とは比べようもありませんが。少しでも彼が生涯でおそらくただ一度だけ味わった達成感に近づくためには,安全を保障する装備はなるべく家に置いた方がいいのと,人が全く入っていない所から生還することが必要なのでしょう。


★次回は沢&トレランを予定しています。


沢(四国) | コメント:4 | トラックバック:0 |
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