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九州の溯渓

主に九州の溯渓記録を集めたものです。 良かったら覗いていって下さい。

UTSK (ウルトラトレイル祖母傾外周) 105km

さて,後半部です。

コースは,尾平トンネル~土呂久林道終点~本谷山南尾根~本谷橋(奥村林道)~県道6号~杉ヶ越~ベニガラ谷~西山登山口~ソデ尾~冷水林道~白谷~三ツ尾~九折~上畑。深夜~夕方にかけてのランとなりました。

最後まで走りきれるかがかかっているので,諦めずに前へ前へ進むことだけ考えて臨みます。

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左:夜間は月くらいしか被写体がないが,次第に西に傾いていく月で時間の経過を知ることができる。
右:夜間走の時の視界。ランプはペツルのウルトラという強力なものを使用しているので,光量は申し分なし。

林道終点からトラバースして尾根に乗り,本谷山南尾根を目指す(5/8の登り)。ここでも強く冷たい風が吹きぬけ,まともに受けていると体温が急激に奪われていくので,大木の影に身を潜めつつ登っていく。そして尾根上に乗りすぐさま反対側に下っていく。

通常ならおにぎり1個(約180Kcal)で2時間は持つのだが,今回は摂取後,1時間も経たないうちに空腹感を覚えてくる。これは低温のため体温維持に通常以上の熱量を使っている証拠。残りの食料とこれからかかるであろう時間を勘案すると,1時間おきに補給していればゴールまで食料が持たない。

その対策として,なるべく風に当たっている時間を減らし,体温低下を防ぐ必要が出てくる。走るペースや心拍を抑え,エネルギーロスに配慮しながらランを続けていく。長時間行動では,ほんのちょっとした変化にきっちり対応していかないとゴールまでたどり着くことはできない。人の感情的反応は往々にして当てにならないことが多いので,これまでの経験を糧として,現実課題を分析し,理性で計画的,迅速に対応していく。

追記:この時の影響で,終了後3日間は唇周りの皮がかさぶたのようにめくれ,唇に異常な乾燥を感じることとなる。これは長時間乾燥した風にあたり続けた結果,もともと保水力の弱い口唇付近がやられたため。冬山でも滅多に経験しないできごとでした。

分岐する尾根を選別し目的の本谷橋への最短コースをとる。次第に尾根が立ってきてヤブもひどくなり始めたので,右下の沢へ下る。ここは以前,煤市集落の落水谷を遡行した帰りに下降したことのある沢で下れることがわかっていた。そして林道の白いガードレールが闇の中に浮かぶのが見えてくると本谷橋。何とか無事に越えることができて良かった。2:52。

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左:奥村林道を10.8km走り下り県道6号に出る。ここからは杉ヶ越へ向けた6/8の登りとなる。4:30。

右:坂の途中から見る「とやんたき」。たき,だきというのは九州の山岳用語で岩壁類を指す。

P4220075.jpg       UTSK地図(尾平トンネル~杉ヶ越)
左:走れない坂道や強烈な睡魔と格闘すること1時間で杉ヶ越のトンネル着。日の出前のこの時間帯は,いつも強烈に眠くなりフラフラしながら歩くことになる。本当に眠くてしかたなかった,前後の時間帯は平気なのに。

追記:人間の体温は夕食後に上昇し,その後下降し始めるそうです。また外気温は日没を境に下降が始まり,夜明け前に最も低下します。つまり夜明け前の時間帯は,体温が低い上に,低い外気温の影響を受け,人に眠気を誘発するようです。因みに眠気が最も誘発されるのは,5~16℃の辺りだそうです。

右:ここまでの行程。全体の4/5程度。距離78.24km / 累積高度4,840m / 21時間29分53秒。さっ,残すは2つの登りのみ。

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左:杉ヶ越から見る朝日。不思議とこれで元気が湧いてくる。

右:せっかく準備した蛍光テープだったが,役に立てることができず。素通りだと何だか空しいので,ライトを当てて光るかどうかだけ確認する。

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左:ベニガラ谷までは約400mの急降下。

右:早朝のベニガラ谷。九州では三指に入る名渓であるとともに峻渓でもある。ここで一本立てていく。6:50。

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左:昔の道をトラバースして西山登山口へ。ここからが7/8の登り。ソデ尾まで一気に720mを登る。

右:ここまで来ると,疲れた脚に急登はかなり堪える。一度に登れるのは高度で50m程度。それ以上はきつくて無理なので,少し登っては休憩,の繰り返しでカメの歩み作戦で登る。「いつまで続くのか」,「げっ,まだ30mしか登っとらん・・・」という果てしない自問自答が続く。

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左:現実の過酷な課題は時として人の心を挫けさせる。そこから目を逸らさせて,再び前進する元気や勇気を与えてくれるのは自然。アケボノツツジの花。

右:そしてやっと登りきったソデ尾。きつかった~。普通なら1時間もあれば登れる所なのに2時間もかかってしまった。カメの歩み作戦成功。少しづつでも辛抱して頑張っていけばゴールは必ず近づいてくる。10:22。

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左:青空に映えるアケボノツツジ。今日は最高の天気。
右:まだミツバツツジも咲いている。今年は花の競演が楽しめて嬉しくなってしまう。

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左:冷水登山口。途中で今回初めての登山者のグループとすれ違う。

右:約4kmの林道を走り下る。下りはまだ脚が動くのでいつもより少し遅いペースなら下れる。新緑のシャワートンネル。この区間は最高だった。

P4220104.jpg       UTSK地図(杉ヶ越~白谷)
左:最後のチェックポイントの白谷集落。ようやくここまで辿りついたとしみじみ回想。あとは三ツ尾までの最後の登り(8/8の登り)をこなせば上畑へ帰れるぞ。12:27。

右:ここまでの行程。距離91,24km / 累積高度5,898m / 28時間04分07秒。

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左:林道を登り官行登山口。ここにきて疲労が一気に脚にくるようになった。「なんだこの脚の重さは・・・本当に自分の脚かいな?」という感覚で,平地でも脚が上がらずとにかく重い・・。こうなれば速歩で対応するしかない。

右:アオスズ谷までは昔のトロッコ道をいく。この辺りでは眠さでボーッとして歩いていたことを覚えている。でもまだ幻覚が見えていないので,まだまだ追い込みは足りないのだろう。なんだかんだ言いながらも限界の手前で追い込むのをやめている弱い自分に気づく。

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左:アオスズ谷の源流域には素晴らしい疎林が展開する。九州内でも屈指の美林で水上越のそれに匹敵。
右:ブナの新緑。通常ならGW位なので,今年はやはり早い。

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左:三ツ尾までの最後の登り。最後の補給としておにぎり1個ともち1個を食べる。目指すは上畑に停めている車の中に置いてある補給食をドカ食いすること!きつい時に人を支えるのは,崇高な思いより,ちょっと頑張ればできそうな目標に向けて集中することかな。

右:そして三ツ尾着。ようやく着いた~って感じ。やったね。後は下って上畑までロードで締めくくり。16:22。

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左:西日に照らされる観音滝。ちょうど良い時間帯にあたった。

右:そして九折登山口。17:30。ここまで下り完走を確信。後は上畑までロードを約4km。走ろうかと思ったが,脚が重すぎてそれどころではないので,速歩で万感の思いに浸りながらゴールを目指す。

P4220121.jpg       UTSK地図(白谷~上畑)
左:残照の三つ坊主の岩峰群。終わってみれば今日もあっという間だった。
右:そして上畑ゴール!祖母傾外周の完成。また一つのパズルが完成。

距離105,58km / 累積高度6,795m / 33時間56分09秒の長旅が終わりました。

これまで走ってきたどのトレランより全ての規模が大きく,やりきれたことに自信を深めることができたこと,そして自分の更なる課題をも見つけることができたことを,純粋に嬉しく思います。

今は全身の倦怠感に覆われ,階段を10段登るのも苦しくなる位ですが,まだまだ限界まで追い込むことはできていなかったと内省しています。まだまだ自分に甘いですね。

追記:今回も終了後,60時間を過ぎた頃から元通りに走れるようになった。一昨年の阿蘇外輪山一周105km,昨年の豊後街道ラン140kmの時も回復傾向はほとんど同じ兆候を示していた。この「60時間」というのが,自分にとっての回復の一つの目安であることに確信を持つ。

今後も更なる挑戦を求めて,日頃の一つ一つの所作に心を込めて,生活の質を高めていきたいと思います。その理由は,きつい状況になるほど,思考力では身体をコントロールできなくなり,身体は日頃から染みついている動作を無意識に行うようになるからです。その日頃の訓練が疎かだったり,悪い癖がついた動作だとそれがそのまま行動に反映され,痛みや運動の停止といった結果をもたらします。そういう意味では,日頃の反復練習というのは,いざという時の最後の砦となりうるものだということを痛感しています。

次の目標としては,祖母傾&大崩山の周遊を考えています。誰かの跡を辿るのではなく,前人未走のコースを自分で設定し走っていく。そしてその過程で,己の限界を感じながら,それを越える勇気の一歩を踏み出していく。

最後まで通読頂きありがとうございました。
これからもネジが外れたような冒険にお付き合い下さい。

★次回は屋久島の沢とトレランをお送りします。

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UTSK (ウルトラトレイル祖母傾外周) 105km

先週の再挑戦で走ってきました。祖母傾山群の外郭を一周するコース。

上畑を起点として,~第二小河内トンネル~倉木山~大規模林道~神原~緩木山~三県境~北谷~黒岳~四季見原橋~親父山南尾根~土呂久橋~尾平トンネル~本谷山南尾根~奥村林道~県道6号~杉ヶ越~ベニガラ谷~ソデ尾~冷水林道~白谷~三尾~九折駐車場~上畑のコースで,8つの登りを繰り返して進むコース。

距離105,58km / 累積高度6,795m / 33時間56分09秒。

自分の限界に挑み,その枠を更に押し広げることができたランになりました。
全身に残る重い倦怠感をある意味喜ばしく思いつつ,今回の様子を紹介していきたいと思います。

長くなるので前後半の2回に分けてお送りします。前半は上畑~尾平トンネルまで,後半は尾平トンネル~上畑まで。ストックなし,デポなし,自販機なしの無補給スタイル。山で言う所のアルパインスタイルで完走を目指します。

ではどうぞ。

                  UTSK地図(全体図)
まずは全体図から。緑色は祖母傾縦走路を示しています。その外側の赤丸をたどるのが今回の行程になります。

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左:健男(たけお)社脇のこの道から長い旅が始まる。1/8の登り。天気は回復傾向にある。8:23。
右:前障子に登る尾根は非常に急な登りで歩くことさえきつい。焦らずゆっくり。

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左:尾根から小河内林道へヤブ漕ぎで降りる。
右:林道を少し下り,再びヤブ漕ぎで倉木山の尾根に乗る。若葉は清清しい。

P4210019.jpg       P4210020.jpg
左:樹間から倉木山を望む。左の植林された頂がそれ。
右:倉木山までの尾根はすっきりしていて心地よい。

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左:一週間ぶりの倉木山。「また来たな」という感じ。10:59。

右:樫山と呼ばれる区間を経由して大規模林道:宇目小国線の倉木山登山口に下りる。倉木山は地元では「樫山」で通っている。これは岡藩主のアルピニスト中川久清公が燃料のための樫を植えたことに由来する。彼は名君として知られ,ここより九重連山の大船山に多くの足跡を残している。

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左:祖母山の山頂部には雪が見える。昨日の荒天で雪になったようだ。
右:神原(こうばる)の三叉路。ここから緩木山を経由して三県境までの登りになる。2/8の登り。13:01。

P4210033.jpg       UTSK地図(上畑~緩木登山口)
左:緩木山登山口。ここまで距離26,8km / 累積高度1,446m / 6時間51分。先週より1時間ほど速いペースで順調。今日は気温があまり高くなく風が冷たいのでそれが奏功している。14:11。

右:地図でみる現在地。まだまだこれからです。焦らず楽しんでいきましょう。

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左:緩木山は山頂近くまで植林されている。
右:これまた一週間ぶりの山頂。倉木山と同じで「また来たな」という感じ。

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左:西方を見ると阿蘇が見える。こんな所で地元の山を見ると嬉しくなる。
右:一方,東方を見ると前&大障子が見える。「前障子岩の向こう側を回ってきたんだな~」と感慨に浸ってみる。

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左:三県境までの道はよく整備されている。
右:烏帽子山から来し方を俯瞰する。先ほど見上げていた神原集落がばっちり見える。

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左:三県境にて。今回のコースは右手の大分県側から登ってきて,左手の宮崎県側に続いています。なのでこれから走るコースは宮崎県側にあり,ほぼ全て夜間走行となります。17:02。

右:千間平(せんげんだいら)と呼ばれる平坦地。

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左:30分も下ると北谷登山口。この東屋は前回も紹介した寒い夜を過ごした想い出の地。「あれからもう一週間か・・・しかしあの夜は寒かったな~」とここでも深い感慨に浸る。ここから黒岳へ向けて3/8の登り。

右:18:30過ぎると薄暮となり,日没まで時間との戦いになる。黒岳までの登りは沢筋を行くので,なるべく高度を上げる必要がある。

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左:月が出てきた。天気は良さそうだ。黒岳まで最後の激急登。
右:そして黒岳山頂。ここからヘッドランプ点灯で走る。19:24。

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左:足元には昨日の名残雪が。もう4月末というのに雪とはね。
右:三尖(みっとぎり)を経由して四季見原橋に降り立つ。そしてすぐに4/8の登り。

親父山南尾根を登り(4/8の登り),少し進み,右下の土呂久橋へ降り立つ(22:14)。ここからは土呂久林道を尾平トンネルまで走る。今晩は夜空一杯の星空が美しいが,風が凄すぎる。まるで冬の風で,涙目,鼻水が出てくる。そして吐く息は白い。体感温度は5℃位だろう。動き続けないとすぐに身体が冷え切ってしまう。「今日の夜は試練になりそうだ。」

P4210069.jpg       UTSK地図(緩木登山口~尾平トンネル)
左:そして尾平トンネルの宮崎県側口。距離55,3km / 累積高度3,870m / 15時間24分21秒。23:47。

右:ここまでの行程。「ここでコースの半分位だろう」と予想してしてたが,まだあと18時間30分も残っているとは,この時点では想像したくなかった。頭で先を想定することも大切だが,現実には次の登りをいかに疲れずにこなすこか,また,この寒すぎる強風をいかの耐え凌ぐか・・・という今直面している身体的問題が大部分を占めている。

ここから先は林道を終点まで詰め,そこから夜間のヤブ漕ぎと尾根下りが待っている。全コース中で,最も不確定要素が強い箇所だけに,気合を入れつつ冷静に読図で突破するしかない。

ここまでで前半終了。後半は,尾平トンネル~上畑をお送りします。

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UTSK(ウルトラトレイル祖母傾外周)

天気が持ちそうなので,決行します。
21(日)朝に上畑発~22(月)午後3時頃上畑着予定です。

今度こそは走りきる覚悟です。
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UTSK(ウルトラトレイル祖母傾外周)

さて,ようやくやってきましたUTSK。
祖母傾山系の馬蹄形の主尾根を巡るコースは,九州岳人の登竜門として歩かれていますが,今回はそこを避けて,主尾根からの派生尾根を8つ越えて走るという企画です。

個人ルールとして2つ,
①なるべくロードを避けること
②途中の補給なしで走り通すこと。
山でいうところのアルパインスタイルです。

日曜の朝から上畑から走り出し,同場所への帰着は月曜の午後3:00予定(約30時間)。
推定距離:約70km,累積高度:約6,000m。前人未走のコースにいざチャレンジです。

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左:上畑の健男社(たけおしゃ)から出発。出だしから急登なのでゆっくりとスタート。コース中8つある尾根越の内の1つ目。登り約800m。

右:シャクナゲ。もう咲いている。今年の花は早い。

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左:登りの途中で見かけたアケボノツツジ。
右:急登が一段落するコル。この少し先で林道へヤブ漕ぎで降りる。

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左:林道を少し走って再びヤブ漕ぎで尾根上に上がり,倉木山を目指す。走りやすい快適な尾根。
右:十数年ぶりの倉木山。記憶に残っていないのが少し寂しい気もする。

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左:広域林道:宇目小国線。倉木山登山口から緩木山登山口までは,ロードを走る他ないので,約18km,約3時間,我慢して走る。ここはアップダウンが激しいのでなかなか進まない。新緑の初々しさが単調さから救ってくれる。

右:緩木山が見えてきた。登山口は尾根の向こう側にあるのでまだまだ遠い。

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左:神原(こうばる)辺りから行く先を見上げる。左の三県境は標高1480m位なので,この地点からの標高差は単純に1,000m。実際には尾根筋のアップダウンが激しいので1,310m登ることになる。コース中8つある尾根越の2つ目。

右:緩木山。2週間ぶり。この頃から雲が広がりだし,西風が更に強くなる。荒天の兆し。

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左:シカ発見。最近は気づかれるより先に,こちらが先に気づくようになってきた。この雌シカはしきりに前足で地面を打ち鳴らす動作をしていた。これは匂いでこちらの存在には気づいているものの,私の動きを捉えることができず,私の居場所がわからないということだ。その隙に一枚。

右:祖母山(右)から前障子岩(左)方面を眺める。ここまでのコースを振り返る。前障子岩の向こう側を回りこんでここまで走ってきた。

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左:三県境。UTMBでいう所のフランス・イタリア・スイスの国境に相当などとかっこいいことを思ったりする。実際には植林の中にあるに過ぎない。「あれっ,雨が降ってきた。」

右:急いで走り下って北谷登山口。この頃には雨脚が強くなり,ここの東屋で休憩。予報では曇りのはずだったが,明日の晴れの前に雨になるようだ。ということは前線の通過に伴う雨なので数時間はこの状態だろう。天候不良の中を走っても面白くないので,今回はここまでとすることに決定。脚が疲れだし,ここからが限界への挑戦の第一歩だけに忸怩たる思いもあるが,仕方ない。また次回,再挑戦だ。

今宵はこの東屋でビバーグ。そして明日の朝一番で祖母山を越えて尾平に下り,上畑まで走って帰る最短コースを選択。吹きさらしの東屋は,短パンとTシャツ・薄いウィンドブレーカーだけでは寒くて,トイレの中で風を避け,震えながら一晩を過ごす。こういう夜の1時間は途方もなく長く,時計を見ながら時間との戦いをするはめになります。「もう1時間は経ったろう」,「げっ,まだ30分しか経っとらん・・・」という繰り返しです。横になることもままならず震えながら寒さとの格闘は8時間続きました。翌朝は4:00から出発し,ただひたすらぬくもりを求めて走ります。つづく・・・。

距離36,65km / 累積高度2,768m / 9時間46分08秒,と今回は残念ながら全体の1/3程度で終了となりました。様々なデータを得ることができ,次に活かせそうです。天候次第ですが,良ければ1週間後に再び挑戦します。最後に今回走った地図を紹介します。青線が実走区間。赤丸が残りのチェックポイント。緑線は祖母傾の馬蹄形縦走路を示しています。まだまだ先は長いですが,限界への挑戦に終わりはありません。

UTSK地図(上畑~北谷)


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小河内(おがわち)谷 in 宮崎

さて先週の名女石川に引き続き,日之影川流域の新規開拓です。
今回も地質図と睨めっこして,地層入り乱れるこの谷に決定した次第です。

さてどうなることやら・・・。

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左:荒天一過,青い空が広がる中での遡行は心ワクワク。日之影川との出合にて。
右:出だしの3m滝。たかが3mだが,造りが大きく迫力あり。これは期待が持てる!

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左:しばらくでゴルジュ帯へ突入。

右:右に屈曲したゴルジュには,轟音を響かせて滝の下半分だけが見えている。これは結局15m滝で,ゴルジュの出口に懸かっていた。ゴルジュ突破と合わせ,下流域最大の見せ場。

ここから先は平流となり,すぐ脇を千軒平林道が走り,淡々と過ぎていく・・・
そして目星をつけていた左岸支流へ入り込む・・・。

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左:斜滝は正面からだと実際より短く見える。これは13m。
右:横から見た斜滝。見た目より長いことがわかる。

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左:そして目星をつけた所にあったのがこれ,18m滝。

右:18m滝の両岸は峻険な大岩壁だったが奇跡的に巻ルートが繋がっていた(一部Ⅳ級を含む三級)。登ることだけに集中して巻いて辿りついた滝頭。眺めが最高。

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左:そしてさらにその上にはこれ,32m屈曲滝。見えているのは下部の15m部分。上で左に曲がってさらに17m滝が続く。ここは結局50m二段(上段32m,下段18m)という代物で,大収穫だった。

右:核心部を越えたかと思いきやまだまだ・・・,これは20m二段。見えているのは9m下段。上に11m滝が伸びている。

連結画像-31,32       P4080038.jpg
左:さらにこれ,25m滝。まだまだ終わりそうになく,興奮は続く。
右:その後はL70mのナメ帯を,癒されながらヒタ歩き,ナメの最後が,この24m滝。

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左:先ほどまでの荒々しい渓相とは異なり,ナメ滝の癒しに心地が良くなる。
右:水が薄幕のように岩上をサラサラ滑る様がなんとも優雅。

結局,この左岸支流は目ぼしい滝だけで,本流出合から13m,50m,20m,25m,24mと満足いく構成でした。滝の高さはレーザー測距で複数回算出(滝下や滝頭から)したものの平均を出しています。

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左:5m滝。これを越えると本当にガレ谷となり,水もなくなり林道へと詰め上がり,終了。下山はお決まりのラン。

右:日之影川の対岸を限る,本谷山南尾根の峰峰。先週遡行した時の詰めだった二つ岳南峰や,最近,復活した湾洞(わんず)越などを確認する。実際に歩いたことはまだないが,地形図があり等高線の具合がわかれば,位置の特定はお手の物。

「今日も大成功だったな~」と余韻に浸りながら林道を走り,もう一つ見ておきたかった場所へ行ってみる。するとそこには,今日みたもの全てを超越するような光景が待っていてくれました。それがこれ。

             連結画像-48,49
ぬお~,なんとも巨大な滝。素晴らしい!こんなのがこの時代,人知れずあったなんて驚き。滝を見てここまで興奮したのは久しぶり。それくらいの迫力を持った滝でした。気持ちが一段落着いたらレーザー測距。結果,65mと判明。単純に高さだけでも,大崩山系で3指に入る大物ではないか?また高さもそうだが,岩壁の造り,スダレ状に広がる優雅さ,周囲の空間の開放感・・・どれもハイレベルな滝だと思います。ここまでのものなら普通は地図上に名前が載っていたり,遊歩道などが整備されたりします。滝から受ける感覚としては,傾山や藤河内渓谷の観音滝と似ています。ちなみに,この大滝は大吹谷の南から戸川集落へ伸びる断層にあり,中生代の砂岩に懸かる滝です。

下山中,地元の人と話すチャンスがあったので早速この滝について聞いてみましたが,特定の名前はないということでした。滝のある場所や地元の人との会話から判断すると,地元で林業をする人しか知らない滝のようです。いや~これこそ今日一番・・・いや開拓を初めて最大の収穫でした。

今日も無事生還できたことと,滅多にないものとの出会いを与えてもらったことに感謝。


★次回はいよいよUTSK(ウルトラトレイル祖母傾外周)予定です。改めてコースを精査した結果,距離75km,累高6,200m,32時間位になりそうです。あわよくば野生クマのGoPro撮影を目論んでいます。全て天候次第です。

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名女石(なめし)川 in 宮崎

さて今回は新規開拓,日之影川にある支流を遡行してきました。

名女石(なめし)・・・名女石集落は旧岩戸村内の見立地区の集落の一つであったため,当時は,現在の高千穂町岩戸地区との往来は峠が利用されていました(役場は岩戸地区にあった)。1951年に旧岩戸村の岩戸地区と見立地区はそれぞれ,高千穂町と日之影町に分村される。日之影川沿いに県道6号線が開通した1952年には,名女石集落は既に廃墟に近い状態だったと思われる。よって,日之影川沿いの県道6号から集落へ上がる車道は造成されていません。

流程は短いですが,下から花崗岩,砂岩・粘板岩(一部チャート層あり)と地層が入り乱れているので,何かあるとの予想を立て行きました。さてどうなることやら。

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左:美しいしだれ桜。今がちょうど花盛り。
右:出合からしてこの滝。花崗岩に懸かる20m滝。

連結画像-9,10       P4010012.jpg
左:少し登ると再び花崗岩に懸かる25m滝。端正な直瀑。

右:左の滝上にはさらに12m滝。ここは大当たりかもとの期待が湧き上がる。ここは下部が花崗岩,上部が粘板岩でできている地層ミックス滝。岩質をよく見比べて見て下さい。境界が見えますか?

連結画像-14,15       P4010017.jpg
左:そして花崗岩帯の最上部にあたる場所にあったのがこれ。スケールが大きい45m大滝。これは凄い!もっと水量があればなお良し。

右:左の滝の左右には岩壁が広がり,その上を通っている昔の道。名女石集落へ通じている。

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左:45m滝の落口から麓の飯干集落を見下ろす。「むむ,あそこにも滝が見えるぞ!」遡行候補入り。

右:今は人影が消えた名女石集落跡。しばし往時に思いを馳せる。中央に十字状に見えるのが茶。昔は田畑の境界に垣根として植え,田畑に植えた作物の収穫の傍らで自給用に摘んでいた。そして,朽ち果てている廃屋と傍らの満開の梅の花。国破れて山河あり。

遡行では上流に行くに従い,時を遡るように,古(いにしえ)の物との出会いが待っている。そして下流(現代)域では見えない物を高見から俯瞰できるようになる。遡行とは,ただ単に水流の流れを遡るだけの行為ではなく,下流(現代)から上流(古代)へと時を遡りつつ,これまでの歴史を俯瞰し,下流(現代)の先にあるものを先見する行為でもあると考えています。

あと10年もすれば,ここと同じような運命を辿る集落がかなりの数になるだろうと,最近は廃集落を見る度にそんなことばかり考えてしまいます。

閑話休題。ここまでは大滝群が楽しませてくれたので,ここから先にも期待がかかる。
ここからはゴルジュの登場。

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左:ゴルジュ①と滝のセット。これは13m。
右:左の滝の上にある12m。

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左:さらに上流にはこれ。チャート層で形成されたゴルジュ②とその中にある37m二段滝。もうここは大当たりと言うほかない。

右:左の滝があるゴルジュは大巻を強いられる。岩尾根を巻いていくうちにこんな高いところまで追い上げられる。この先で再び谷へ100mは下る。今日は下部の滝といい,ゴルジュといい大巻の連発。

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左:そしてゴルジュ②内,最後のとりを飾るのがこれ。18m二段滝。写真には写っていないが,両岸は100mはあろうかという岩稜と岩壁が森の中に広がり,巻くのを尻込みしてしまう。ここは右壁をクライムで突破。一部,5.7のムーブで渋かった。ベニガラの核心部よりこっちが厳しい。

右:左の滝を越えるとようやくゴルジュはおしまい。いや~実に面白く印象深いゴルジュだった。

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左:源流部は岩盤が露出した渓相。ここからは粘板岩(泥岩の変成)主体。

右:源流部というのにまだこんなのが出てくる。10m滝。ここは右手のコーナー(5.5)を10m登り突破。難しくはないが絶対に落ちれないという重圧の下,冷静にホールドとスタンスを求めて登る。平常心。

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左:そして詰めは高度差100mの崩壊地。勾配が急な分,眺めが良い。
右:ヤブを少し漕ぐと二ツ岳南峰。初めての山頂。日陰ツツジが多い。

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左:山頂からは登山道を下り,煤市(すすいち)林道へ降りる。そしてここから車まで18,7kmのランの始まり。
右:日之影川沿いの6号線に降りる頃には日没。ここからさらに5kmインターバルでトレーニング終了。

名女石川は短いながらも見所満載で,武平谷や由布川より少し劣りますが,終了後,心から充実感を味わえました。怪我なく生還できたことに心から感謝です。生きてるって本当に素晴らしいことだと思います。

日之影川や隣の綱の瀬川流域はあまり足を運んでいなかったので,今後の調査地域としたいと思います。


★次も沢です。場所はこれから探します。

沢(九州) | コメント:4 | トラックバック:0 |
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